これまでハイエンド向けのシリーズのみをメンテしてきましたが、先日オークションで落札頂いた方よりTC-K700Sを譲って頂きましたので、整備に挑戦してみました。頂いたデッキは電源は入るものの再生できない状態です。おそらくはモードベルトが劣化していると思われます。まずは天板を開けてみます。 写真の下右側が再生系、下左側が記録系の回路となっています。DolbyのICがESシリーズとは違っていてCXA1331Sが実装されています。CX20188よりピン数は少なくなっていますが、ブロック図を見る限りでは大きな違いは無さそうです。DolbySの基板はESJシリーズと同様の小基板となっています。上右側が電源上左側がコントロール回路となっています。次はデッキ部です。 デッキ正面です。ドア部はすべてプラスティックでできています。ESシリーズと違ってシングルキャプスタンなので送り側(左側)にピンチローラーがありません。 横からの写真です。基本的に同じ構造です。 ホルダーを外したところです。 更にカバーを外したところです。シングルキャプスタンであること以外は、基本的にESシリーズと同じですが、ヘッドを固定してる金具がありません。固定感が無く、少々不安を感じます。
テイクアップ側のピンチローラーは、プラスティックの爪で止めてあるだけの簡単な構造です。 かなりチープ感が漂っています。 ヘッドを取り外したところです。ESシリーズでは、赤丸部分にベアリングがありますが、700Sにはありません。 デッキの裏側です。シングルキャプスタンなので構造がシンプルです。 モーターを取り外したところです。ドライブベルトは右赤丸(モーター)と左赤丸(ホイール)に架かっています。 リールモータ基板を取り外すと、メカが出てきます。ESシリーズと全く同じ構造です。真ん中のギアの色がESシリーズでは黒になっています。モードベルトを取り替えてばらした時と逆の手順で組み立てていきます。 ドライブベルトは右側の突起に引っ掛けておきます。ベルトの長さはΦ70mmだと緩すぎて、Φ65mmだと若干キツめとなります。今回はΦ65mmにしました。以上で組み立て終了です。デッキを戻して、テストテープで信号系の調整を行って整備完了です。 音質ですが、これがなかなか侮れません。BISA、RECレベルの調整をすると、ソースとの違いが感じられないくらいです。オシロで波形を見ると、デュアルキャプスタンと比較して一歩届かない感じではありますが、聴感上は全く気になりません。